こんにちは、りゅう先生です!
今回から「青年期」について解説していきます。
突然ですが、みなさんは子どもですか?それとも大人ですか?
バイトしてお金を稼いでいるけど、なんか大人っていうのもピンとこないな〜。
子どもでも大人でもないどちらでもない感じかな。
はっきりと「私は子どもです。」「私は大人です。」と言い切れる人も少ないのではないでしょうか。
ちょうどみなさん(高校生)が直面している時期は、「青年期」にあたります。
青年期は、「子どもから大人へと変わり、成長をとげる時期」のことです。
「子どもでも大人でない。」と思う感覚は正しいですね。
青年期について学ぶと、自分のことを客観的に知れるいい機会になります。
青年期の単元は、内容が多いのでいくつかの記事に分けて解説していきますね。
今日は「青年期の特徴」について一緒に学んでいきましょう。
青年期を表す言葉が色々と出てくるから、どの言葉に共感できるか考えながら読み進めてね!
1. 青年期とは何か?
青年期とは、簡単に言うと「子どもから大人へと変わり、成長をとげる時期」のことです。
具体的には「12歳〜13歳ごろから22歳〜23歳ごろまで」をさし、「児童期から成人期へと成長する時期」であるとも言えます。
現代では社会で必要とされる知識や技術が高度化し、また人間の生き方が多様化したため、青年期が長期化する傾向にあるといわれています。
青年期の身体的・心理的特徴
青年期は、身体と心が大きく変化する時期です。
身体的特徴としては、性による体つきの変化である「第二次性徴」といわれる性的な特徴があらわれます。
例えば、体毛、乳房、声、骨格などに第二次性徴があらわれます。
ちなみに第一次性徴とは、生まれてすぐにわかる男女の生殖器にみられる特徴のことです。
心理的特徴としては、他人とは異なる自分らしさを求め出す「自我のめざめ」が始まります。
例えば、自分の容姿・性格・能力といった内面に意識が向かったり、周囲の家族や大人の世界に違和感をおぼえたりすることです。
他の子と一緒にならない自分らしさを出せるファッションに最近ハマってるんだよね。
これまで親の言うことを聞いて生きてきたけど、最近はなんか納得がいかないんだよなぁ。
二人ともそれは自我がめざめている証拠ですね。
自分の心に従って生きて大丈夫ですよ!
青年期が出現した時期・背景
近代以前の社会では青年期という区分はなく、子どもは成人式などの通過儀礼(イニシエーション)をすますと、大人の一員として認められていました。
海外の通過儀礼には、バンジージャンプをしたり、牛の背渡りジャンプをするところもあるみたいですよ!
そして、近代以降に教育制度が確立されるに従って、青年期という区分が位置づけられるようになりました。
またフランスの歴史学者のアリエスによると、中世ヨーロッパでは子どもは7歳ごろから「小さな大人」とみなされており、現在の意味における「子ども」は存在していなかったといわれています。
2. 青年期を表す言葉と人物
ここからは、青年期を表す言葉と人物を確認しましょう。
テストにもよく出る重要な5つの言葉と人物を表にまとめましたので、確認してください。
青年期を表す言葉 | 人物 |
---|---|
① 「第二の誕生」 | ルソー |
② 「心理的離乳」 | ホリングワース |
③ 「第二反抗期」 | ビューラー |
④ 「マージナル – マン(境界人・周辺人)」 | レヴィン |
⑤ 「モラトリアム」 | エリクソン |
どの言葉・人物も非常に大切です。
それぞれがどんな意味をもつ言葉なのか、解説を読んでしっかりと理解しましょう。
①「第二の誕生」:ルソー
フランスの思想家ルソーは、著作『エミール』の中で、青年期に自我にめざめる精神的な誕生のことを「第二の誕生」と表しました。
われわれはいわば二度生まれる。一度目は生存するために。二度目は生きるために。一度目は人類の一員として、二度目は男性として、女性として。
ルソー『エミール』
青年期に精神的に新しく生まれ変わるから「第二の誕生」なんだね!
ルソーさん、おしゃれな表現するね!
②「心理的離乳」:ホリングワース
アメリカの心理学者ホリングワースは、青年期に精神的に自立し、親から離れていくことを「心理的離乳」と表しました。
心理的離乳は、赤ちゃんが母親の授乳から離れる「身体的離乳」と対比している言葉になります。
③「第二反抗期」:ビューラー
オーストリアの心理学者ビューラーは、青年期に自我意識が高まり、親などの大人に対して反抗的な態度になることを「第二反抗期」と表しました。(第一反抗期は話し言葉をおぼえた3〜4歳ごろをさします。)
なんか親の言ってることに反発したくなっちゃうのは第二反抗期だったからか..。
そういう時期ならまあしょうがないか!笑
④「マージナル – マン(境界人・周辺人)」:レヴィン
ドイツの心理学者レヴィンは、子どもでも大人でもない境目の不安定な状態にいる青年を「マージナル – マン(境界人・周辺人)」と表しました。
マージナル – マンである青年は、子どもと大人の集団の中間に挟まり、心理的な動揺をすることが多いです。
⑤「モラトリアム」:エリクソン
アメリカの心理学者エリクソンは、青年期が社会的な義務や責任を免除された猶予期間であることを「モラトリアム(心理・社会的モラトリアム)」と表しました。
モラトリアムの間に自己探求を行い、自分のアイデンティティ(自我同一性)を確立することが大切になります。
アイデンティティとは、簡単にいうとほかの誰でもない「自分らしさ」のことです。
みなさんにとっての「自分らしさ」って何ですか?
3.「青年期を表す言葉と人物」の覚え方
ここまで青年期を表す言葉と人物を解説してきました。
たくさんの用語が出てきて、少し混乱していると思いますので、ここで覚え方の紹介をしたいと思います。
大前提として、倫理では用語の暗記よりも、理解の方が大事です。
とはいってもテストで点を取るために覚えなくてはならないこともあるので、用語を理解した上で、以下の覚え方も参考までに活用してもらえたらと思います。
覚え方 | 省略前 |
---|---|
ルソー誕生 | ルソー:「 第二の誕生 」 |
ホリング離乳 | ホリングワース:「 心理的離乳 」 |
ビューラー反抗期 | ビューラー:「 第二反抗期 」 |
レヴィンマン | レヴィン:「 マージナルマン(境界人・周辺人) 」 |
エリクリアム | エリクソン:「 モラトリアム 」 |
繰り返し言葉にしてみてください。
10回ぐらい声に出してみると覚えられるかと思います!
4. 演習問題にチャレンジ
- Q青年期において、男子は精通や声変わり、女子では月経や乳房の発達など、それぞれに性的な特徴があらわれることを何というか。
- A
第二次性徴
- Q七五三や成人式、結婚式など人生の区切りごとに行われる儀式を何というか。
- A
通過儀礼(イニシエーション)
- Q青年期に精神的に自立し、親から離れていくことをホリングワースは何と表したか。
- A
心理的離乳
- Q青年期に自我意識が高まり、親などの大人に対して反抗的な態度になる時期を何というか。
- A
第二反抗期
- Q青年期を上記の言葉で表したオーストリアの心理学者は誰か。
- A
ビューラー
- Q青年がアイデンティティを確立するまで、社会的責任を猶予される期間を何というか。
- A
モラトリアム(心理・社会的モラトリアム)
- Q青年期を上記の言葉で表したアメリカの心理学者は誰か。
- A
エリクソン
5.「青年期の特徴」まとめ
この記事では「青年期の特徴」について解説しました。
最後に、テストにもよく出る「青年期を表す言葉と人物」について、覚えた方も含めて表にまとめましたので、おさらいしてください。
青年期を表す言葉 | 定義した人物 | 覚え方 |
---|---|---|
① 「 第二の誕生 」 | ルソー | ルソー誕生 |
② 「 心理的離乳 」 | ホリングワース | ホリング離乳 |
③ 「 第二反抗期 」 | ビューラー | ビューラー反抗期 |
④ 「 マージナルマン(境界人・周辺人)」 | レヴィン | レヴィンマン |
⑤ 「 モラトリアム 」 | エリクソン | エリクリアム |
最後まで読んでくれてありがとうございました!