こんにちは、りゅう先生です!
前回は、中世キリスト教を代表する思想家であるトマス・アクィナスについて学びました。
今回は、高校倫理で頻出のテーマである
「宗教改革」と、その中心人物であるルターとカルヴァン
について解説していきます。

先生、宗教改革って名前は聞いたことがあります!
でも何を改革したんですか?

信仰義認説とか予定説とか、難しい言葉が多くて苦手です……

大丈夫!
宗教改革は、
「人はどうすれば救われるのか?」
という問いをめぐる運動なんだ。
この記事では、ルターとカルヴァンの思想を比較しながらわかりやすく整理していこう!
- 宗教改革が起こった理由
- ルターの信仰義認説
- 万人司祭説と聖書主義
- カルヴァンの予定説
- 職業召命観とは何か
- ルターとカルヴァンの違い
宗教改革とは何か
宗教改革とは、
16世紀のヨーロッパで起こったキリスト教の改革運動
のことです。
当時の西ヨーロッパでは、ローマ=カトリック教会が大きな力を持っていました。
しかし、教会には次第にさまざまな問題が生じるようになります。
カトリック教会の問題点
① 教皇や聖職者の腐敗
教会の指導者たちは莫大な財産や権力を持ち、
本来の宗教的な役割よりも政治的な活動に力を入れるようになっていました。
② 免罪符の販売
特に人々の不満を集めたのが
免罪符(めんざいふ)
でした。
免罪符とは、
罪に対する罰を軽くする証明書のようなものです。
教会はこれを販売し、
「購入すれば罪が軽くなる」
と宣伝していました。

お金を払えば罪が軽くなるって、本当にそんなことがあるんですか?

そう思うよね。当時も同じ疑問を持った人がたくさんいて、その代表がルターだったんだ。
マルティン・ルターの思想
ルターとはどんな人物?
ルター(1483〜1546)はドイツの神学者です。
もともとはカトリック教会の修道士でしたが、
免罪符の販売に強く反対しました。
そして1517年、
教会の問題点をまとめた
『九十五か条の論題』
を発表します。
これが宗教改革の始まりとされています。
信仰義認説とは
ルターの思想の中心が
信仰義認説
です。
義認とは、
「神によって正しい人と認められること」
を意味します。
当時の教会は、
善い行いを積み重ねることが救いにつながると考えていました。
しかしルターは違いました。
人間は罪深い存在であり、
善行だけで完全になることはできない。
だからこそ、
神とキリストを信じる信仰によって救われる。
これが信仰義認説です。

信仰義認説の覚え方
信仰+義認
↓
信仰によって
↓
義(正しい人)と認められる
↓
「信じて救われる」
と覚えよう!
万人司祭説とは
従来のカトリック教会の考え方は、
神と人との間に聖職者という仲介者が必要という考えだったのに対し、
ルターは、
特別な仲介者は必要ないと考えました。
これを
万人司祭説
といいます。
すべての人が神の前では平等である
と考えたのです。

聖書主義とは
ルターは、
教皇の権威よりも聖書を重視しました。
信仰の基準は教会ではなく、
聖書そのもの
であると考えたのです。
これを
聖書主義
といいます。

じゃあ、聖書を読めば誰でも神の教えを知れるんですね!

その通り!だからルターは聖書をドイツ語に翻訳して、多くの人が読めるようにしたんだよ。
ジャン・カルヴァンの思想
カルヴァンとはどんな人物?
カルヴァン(1509〜1564)はフランス出身の宗教改革者です。
ルターの影響を受けながらも、
さらに独自の思想を発展させました。
その代表が
予定説
です。
予定説とは
予定説とは、
神は世界を創造する前から、誰が救われるかを決めている
という考え方です。

一見すると厳しい考え方に見えます。
しかしカルヴァンは、
神の絶対的な力を強調しようとしたのです。

えっ、最初から決まっているなら努力しても意味がないのでは?

実は逆なんだ。人々は『神に選ばれている証拠を示したい』と考えて、まじめに働くようになったんだよ。
職業召命観とは
カルヴァンは、
仕事そのものが神から与えられた使命だと考えました。
これを
職業召命観
といいます。
真面目に仕事に取り組むことが神への奉仕になると考えました。
この考え方は後に、
社会学者マックス・ウェーバーにより近代資本主義の発展にも影響を与えたと説明されています。

ルターとカルヴァンの違い
| 項目 | ルター | カルヴァン |
|---|---|---|
| 中心思想 | 信仰義認説 | 予定説 |
| 救い | 信仰による | 神が決定 |
| 特徴 | 万人司祭 | 職業召命観 |
| 重視 | 信仰 | 神の絶対性 |
| 影響 | 宗教改革開始 | 資本主義発展に影響 |
宗教改革が世界に与えた影響
宗教改革によって、
キリスト教は大きく変化しました。
プロテスタントの誕生
ルターやカルヴァンの流れをくむ教会は、
カトリック教会から分かれ、
プロテスタント
と呼ばれるようになります。
現在でも世界中に多くの信者がいます。
カトリック教会の改革
宗教改革の影響を受け、
カトリック教会も内部改革を進めました。
これを
対抗宗教改革
といいます。
近代社会への影響
宗教改革は単なる宗教運動ではありませんでした。
- 個人の信仰を重視する考え
- 教会権力への批判
- 自由な思想の発展
など、
近代社会の形成にも大きな影響を与えました。
ルターとカルヴァンの思想の覚え方
ルターの信仰義認説
ル → ルールより信仰
↓
信仰義認説
カルヴァンの予定説
カ → 神が勝手に(先に)決める
↓
予定説
【演習問題】ルター・カルヴァンの思想を確認しよう
- Q免罪符の販売を批判して宗教改革を始めた人物は誰か。
- A
ルター
- Q人は信仰によって救われるとする考えを何というか。
- A
信仰義認説
- Q神と人との間に特別な聖職者は必要ないとする考えを何というか。
- A
万人司祭説
- Q信仰の基準は聖書であるとする考えを何というか。
- A
聖書主義
- Q救われる人は神によってあらかじめ決められているとする考えを何というか。
- A
予定説
- Q予定説を唱えた宗教改革者は誰か。
- A
カルヴァン
- Q仕事を神から与えられた使命と考える思想を何というか。
- A
職業召命観
- Qルターが1517年に発表し、宗教改革のきっかけとなった文書を何というか。
- A
九十五か条の論題
- Qカルヴァンの職業召命観が後の資本主義の発展に影響を与えたと説明した社会学者は誰か。
- A
マックス・ウェーバー
ルター・カルヴァン思想まとめ
今回学んだポイントを整理しましょう。
| 人物 | 重要語句 |
|---|---|
| ルター | 信仰義認説・万人祭司・聖書主義 |
| カルヴァン | 予定説・職業召命観 |
| 宗教改革 | 免罪符批判・プロテスタント誕生 |
宗教改革は、
「教会が救うのではなく、神への信仰によって救われる」
という考えを広めた大きな転換点でした。
ルターは信仰義認説を、
カルヴァンは予定説を唱え、
後のヨーロッパ社会に大きな影響を与えたのです。
次回は、
「イスラーム教とは?|ムハンマド・六信五行・アッラーをわかりやすく解説」
を学びます。
ユダヤ教・キリスト教との共通点や違いにも注目しながら、高校倫理頻出のイスラーム思想を整理していきましょう。
最後まで読んでくれてありがとうございました !

