こんにちは、りゅう先生です!
前回の記事では、
イエスが説いた「神の国」や「十字架」「復活」の意味について学びました。
※前回の記事はイエスの生と死|神の国・十字架・復活・贖罪の意味をわかりやすく解説をご覧ください。
今回は、高校倫理で頻出の思想家
アウグスティヌスについて解説していきます。

先生、アウグスティヌスって名前はよく出てくるんですけど、
何を考えた人なのかよく分かりません…

三位一体とか恩寵とか難しい言葉が多くて苦手です…

確かにアウグスティヌスは専門用語が多いね。
でも実は、
「人はなぜ悪を行うのか」
「どうすれば救われるのか」
という、とても身近な問題を考えた人物なんだ。
この記事では、
- 教父哲学
- 三位一体
- 自由意志
- 恩寵説
- 神の国
を中心に、高校倫理レベルでわかりやすく解説していくよ!
- アウグスティヌスとはどんな人物か
- 教父哲学とは何か
- 三位一体説の意味
- 自由意志と恩寵説
- 『神の国』の思想
アウグスティヌスが生きた時代背景
アウグスティヌス(354〜430)は、
ローマ帝国がキリスト教国家へと変化していく時代を生きました。
キリスト教はもともと迫害される宗教でしたが、
313年のミラノ勅令によって公認されます。
その後、ローマ帝国の保護を受けながら急速に広まっていきました。
しかし信者が増えると、
「イエスは神なのか人間なのか」
「父なる神とイエスは同じ存在なのか」
など、教義をめぐる対立も起こります。
そこで325年、
ローマ皇帝コンスタンティヌス帝のもとで
ニケーア公会議が開かれました。
この会議では、
後にキリスト教の正統教義となる
三位一体(さんみいったい)説
が支持されることになります。
アウグスティヌスがキリスト教思想を哲学的に整理
初期のキリスト教は少数派の宗教でした。
しかし公認後は、
国家を支える重要な宗教へと変化していきます。

宗教が政治と結びつくと何が変わるんですか?

教えを統一する必要が出てくるんだ。
国の中で宗教がバラバラだと混乱が起きるからね。
そのため、
「何が正しい教えなのか」
を決める公会議が開かれるようになったんだよ。
このような流れの中で、
キリスト教思想を哲学的に整理した人物がアウグスティヌスでした。
教父哲学とは何か
アウグスティヌスは
教父哲学(きょうふてつがく)
を代表する思想家です。
教父哲学とは、
キリスト教の教えを哲学によって説明しようとする試みです。
特にアウグスティヌスは
プラトン哲学や新プラトン主義の影響を受けながら、
キリスト教の教義を体系化しました。
三位一体説とは?
キリスト教では、
神は一人でありながら、
三つの姿で現れると考えます。
これを
三位一体説
といいます。
三位一体の図解


三人いるなら三つの神じゃないんですか?

そこが難しいところなんだ。
三位一体説では、
神の本質は一つだけれど、
人間との関わり方が三つあると考えるんだよ。
アウグスティヌスの自由意志論
アウグスティヌスは
「なぜ人は悪を行うのか」
という問題を考えました。
彼は、
神が悪を作ったのではない
と考えます。
人間には
自由意志
が与えられており、
その自由を誤って使うことで悪が生まれるのです。
悪とは何か
アウグスティヌスは
悪を独立した存在とは考えませんでした。
悪とは、
善が欠けた状態であると説明します。
たとえば、
闇は光が存在しない状態です。
同じように、
悪は善の欠如なのです。
アウグスティヌスの恩寵説
アウグスティヌスの思想で最も重要なのが
恩寵説(おんちょうせつ)
です。
彼は、
人間は自由意志を持っているものの、
その力だけで完全に善を実現することはできないと考えました。
なぜなら、
人類はアダムとイブ以来、
罪の傾向を受け継いでいるからです。
これを
原罪
といいます。
そのため、
人間が救われるためには、
神から与えられる
恩寵(神の恵み)
が必要だと考えました。
恩寵説の流れ
原罪を持つ人間
↓
自由意志だけでは不十分
↓
神の恩寵が与えられる
↓
救済へ

努力だけでは救われないんですか?

アウグスティヌスはそう考えたんだ。
だからこそ、
神の愛と恵みが大切になるんだよ。
神の国とは何か
アウグスティヌスは
著書『神の国』を書きました。
当時、
ローマ帝国は衰退し、
多くの人が不安を感じていました。
その中でアウグスティヌスは、
本当に大切なのは地上の国家ではなく、
神を愛する人々による共同体であると説きました。
地上の国と神の国
地上の国と神の国の違いは下図を見てください。

どれほど強大な国家も永遠ではありません。
しかし、
神への愛によって結ばれた共同体は永遠に続くと考えたのです。
アウグスティヌスとプラトン哲学
アウグスティヌスは
プラトン哲学の影響を強く受けています。
※プラトンについてはプラトンの思想をわかりやすく解説|イデア論・想起・国家論とはをご覧ください。
プラトンが
「目に見える世界よりもイデア界が真実」
と考えたように、
アウグスティヌスも
地上世界より神の世界を重視しました。
三元徳とは?
アウグスティヌスは、
プラトン哲学の四元徳を受け継ぎながら、
キリスト教独自の徳も重視しました。
それが
三元徳
です。
| 三元徳 | 内容 |
|---|---|
| 信仰 | 神を信じる |
| 希望 | 救いを信じる |
| 愛 | 神と隣人への愛 |
特に愛は最高の徳とされました。
アウグスティヌスの重要語句の覚え方
「三・自・恩・神」
- 三=三位一体
- 自=自由意志
- 恩=恩寵説
- 神=神の国
この4つを押さえれば入試対策は十分です。
【演習問題】アウグスティヌスの思想を確認しよう
- Qキリスト教の教義を哲学的に説明しようとした思想を何という?
- A
教父哲学
- Q神が父・子・聖霊の三つの姿で現れるという教義を何という?
- A
三位一体説
- Q人間が自ら選択する能力を何という?
- A
自由意志
- Q神の恵みによって救済されるという考えを何という?
- A
恩寵説
まとめ|アウグスティヌスの思想のポイント
アウグスティヌスは教父哲学を代表する思想家です。
ポイントを整理すると、
- キリスト教思想を哲学的に体系化した
- 三位一体説を支持した
- 自由意志によって悪が生じると考えた
- 恩寵説によって救済を説明した
- 『神の国』で永遠の共同体を説いた
ということになります。
次回は、
「トマス・アクィナスとは?|スコラ哲学と信仰・理性の調和をわかりやすく解説」
です。
アウグスティヌスの「信仰中心」の思想から、
中世後期に登場するトマス・アクィナスの「信仰と理性の調和」へと発展する流れを学んでいきましょう。
最後まで読んでくれてありがとうございました !



