アリストテレスの思想をわかりやすく解説|形相・質料・四原因説・中庸とは

アリストテレスの思想をわかりやすく解説|形相・質料・四原因説・中庸とは

こんにちは、りゅう先生です!

今回は、高校倫理でプラトンの次に登場する重要人物

アリストテレスの思想を、できるだけわかりやすく解説していきます。

こう
こう

アリストテレスって、用語が多くてごちゃごちゃになります…

りん
りん

形相とか質料とか、漢字からして難しいです

りゅう先生
りゅう先生

大丈夫!

アリストテレスはむしろ”現実重視“で分かりやすい哲学者”なんだ。

ポイントを整理すれば、プラトンより理解しやすくなるよ。

この記事では、アリストテレスの思想を

「人物 → 基本思想 → 倫理 → 政治」

という流れで、一本につなげて解説します。


この記事でわかること
  • アリストテレスとはどんな人物か
  • プラトンとの決定的な違い
  • 形相・質料四原因説
  • 可能態現実態
  • 徳・中庸・幸福(エウダイモニア)
  • 正義の考え方と政治思想

アリストテレスとはどんな人物か

プラトンの弟子としての出発

アリストテレスは、紀元前4世紀の古代ギリシャの哲学者です。

プラトンが設立した学園アカデメイアで、20年以上学んだ弟子でした。

ただし、思想は師と大きく異なります。

プラトン:理想(イデア)を重視

アリストテレス:現実の世界を観察することを重視

この違いが、すべての思想の分かれ道になります。

※プラトンについてはプラトンの思想をわかりやすく解説|イデア論・想起・国家論とはをご覧ください。


学園「リュケイオン」と実証的態度

アリストテレスは後に

リュケイオンという学園を設立します。

ここでは、

  • 歩きながら議論する
  • 動植物や社会を観察する

といった、経験と観察を重視する哲学が行われました。

また、彼は

アレクサンドロス大王の家庭教師

としても有名です。


代表的な著書

アリストテレスの思想を理解するうえで重要な著書が2つあります。

『ニコマコス倫理学』

  • 人間の幸福とは何か
  • 徳とはどのような生き方か

を論じた倫理学の代表作です。

高校倫理で扱う中庸・徳・幸福は、ここが出典です。

『形而上学』

  • 「存在とは何か」
  • 「本質とは何か」

を扱う哲学の根本書。

形相・質料・可能態・現実態などの概念はここで説明されます。


プラトンとの違いを整理しよう

観点プラトンアリストテレス
世界観イデア界と現象界この世界が唯一の現実
本質イデアとして別に存在物の中にある
認識想起経験と観察
哲学の姿勢理想重視現実重視
りゅう先生
りゅう先生

アリストテレスは「この世界を深く見る哲学者」と覚えよう!


形相と質料とは何か

アリストテレスは、すべてのものは

形相(けいそう)質料(しつりょう)から成ると考えました。

  • 質料:材料となるもの
  • 形相:それをそれたらしめる本質・形

具体例で考えてみよう

  • 木材(質料)
  • 机という形(形相)

合わさって「机」になる

プラトンのように

「机のイデアが別に存在する」

とは考えません。

本質は、この世界の中にある

これがアリストテレスの立場です。


四原因説とは何か(超重要)

アリストテレスは、物事を理解するために

四つの原因を考えました。

四原因の内容

原因内容
質料因何でできているか
形相因どんな形・本質か
作用因誰・何が作ったか
目的因何のためにあるか

具体例:机の場合

  • 質料因:木材
  • 形相因:机という形
  • 作用因:大工
  • 目的因:勉強や作業をするため

特に重視したのが目的因です。


可能態(デュナミス)と現実態(エネルゲイア)

アリストテレスは、存在の変化を

可能態 → 現実態

として説明しました。

  • 可能態(デュナミス):〜になりうる状態
  • 現実態(エネルゲイア):すでになっている状態

具体例

  • どんぐり → 可能態の木
  • 成長した木 → 現実態の木

人間も同じです。

  • 勉強していない状態:知的能力の可能態
  • 学び続けている状態:現実態

👉 人は可能性を現実化する存在

これが倫理思想につながります。


人間の目的と幸福(エウダイモニア)

アリストテレスによれば、

人間の目的=幸福(エウダイモニア)です。

ただし幸福とは、

  • 快楽
  • お金
  • 名声

ではありません。

人間に固有のはたらき=理性

人間は理性をもつ存在です。

だから、

理性に従って生きること=人間らしく生きること=幸福

と考えました。


テオリア(観想)と理想的生活

アリストテレスは、理性の最高の使い方を

テオリア(観想)

と呼びました。

  • 真理を静かに考え続ける
  • 学問・哲学に没頭する

この生き方を

観想的生活

といい、最も理想的だと考えました。

りん
りん

でも、みんなが哲学者にはなれないですよね?

りゅう先生
りゅう先生

その通り!

だから次に出てくるのがの話だよ。


徳とは何か|知性的徳と習性的徳

アリストテレスは、人間が善く生きるための力を

徳(アレテー)」と呼び、次の2つに分けました。

種類内容
知性的徳理性を正しく使う力(考える力)
習性的徳行動のくり返しで身につく性格の徳

知性的徳とは何か

知性的徳とは、物事を正しく考え、判断するための理性の徳です。

これは、

  • 勉強や経験
  • 教えられること

によって身につく徳です。

代表的な知性的徳には、次のようなものがあります。

  • 知恵:物事の本質を理解する力
  • 思慮(しりょ):状況に応じて「何をすべきか」を判断する力
こう
こう

テストの点を取る知識とは違うんですか?

りゅう先生
りゅう先生

いいところに気づいたね。

知性的徳は、単なる暗記ではなく“考え方の上手さ”なんだ。

たとえば、

  • 友だちとケンカしたとき
  • 進路に迷ったとき

に、「何が一番よい選択か」を考える力。

これが知性的徳です。


習性的徳とは何か

一方、習性的徳は、

  • 勇気
  • 節制
  • 親切さ

など、行動をくり返すことで身につく徳です。

考える力=知性的徳

行動の積み重ね=習性的徳

この2つがそろって、よい生き方が可能になると考えました。


中庸とは何か

習性的徳の中心となる考えが

中庸(ちゅうよう)です。

中庸とは、

極端を避けた「ちょうどよさ」

例えば勇気を例にすると、

  • 無謀(多すぎ)
  • 臆病(少なすぎ)
  • 勇気(中庸)

となり、状況に応じて判断することが大切です。


人間はポリス的動物である

アリストテレスは、

人間はポリス的動物である

と言いました。

これは、

  • 人は社会(ポリス)の中で
  • 他者と関わりながら
  • 善く生きる存在

という意味です。

倫理と政治は切り離せない

ここから政治思想へつながります。


アリストテレスの正義論

アリストテレスにとって、正義は徳の中でも特に重要なものです。

正義はまず、大きく次の2つに分けられます。


正義の全体像

分類内容
全体的正義法や社会全体を守り、共同体を成り立たせる正義
部分的正義人と人との関係で問題となる正義

このうち、

部分的正義の中に「配分的正義」と「調整的正義」が含まれます。


部分的正義①|配分的正義とは

配分的正義とは、

地位・報酬・評価などを、能力や貢献に応じて分ける正義です。

具体例

  • テストの点数に応じた成績評価
  • 仕事の成果に応じた給料
  • チームへの貢献度に応じた役割分担

全員を「平等」に扱うのではなく、

ふさわしさ(比例)を重視する点が特徴です。


部分的正義②|調整的正義とは

調整的正義とは、

損害や不公平が生じたときに、それを元に戻そうとする正義です。

具体例

  • 事故の被害者に賠償金を支払う
  • 盗まれた物を返す
  • 不当な扱いを是正する

こちらは、

「プラスとマイナスをゼロに戻す」

という考え方です。


正義の整理(覚えやすいまとめ)

正義の種類内容
全体的正義社会全体を守る
部分的正義個人間の正義
配分的正義能力・貢献に応じて分ける
調整的正義損害を調整して元に戻す
りゅう先生
りゅう先生

「配分=分ける」「調整=直す」

このイメージで覚えると混乱しません。

政治思想|共和制を重視

アリストテレスは、

極端な政治形態を避け、

共和制を重視しました。

  • 民主政の良さ
  • 貴族政の良さ

を取り入れた、安定した政治です。

ここでも

中庸の考え方

が活きています。


【演習問題】アリストテレスの思想を確認しよう

ここまで読んだら、演習問題で理解をチェックしてみましょう。

答えを見る前に、頭の中で一度考えるのがおすすめです!

Q
アリストテレスが人間の最高善だと考えたものは何か?
A

幸福(エウダイモニア)

Q
著書『ニコマコス倫理学』で中心的に論じられているテーマは何か?
A

人間がいかにして幸福に生きるか(徳と幸福の関係)

Q
アリストテレスが理想的な生き方とした生活を何というか?
A

観想的生活(テオリア)

Q
物事を説明するために用いた「四つの原因」をまとめて何というか?
A

四原因説

Q
可能態(デュナミス)と現実態(エネルゲイア)とは何か?
A

可能態:将来そうなりうる状態

現実態:すでに実現している状態

Q
理性を正しく使い、物事を考え判断する力の徳とは何か?
A

知性的徳

Q
行動のくり返しによって身につく性格の徳とは何か?
A

習性的徳

Q
人間は社会の中で生きてこそ完成する存在であるという意味の言葉は何か?
A

「人間はポリス的動物である」

Q
アリストテレスの正義は、大きくどの二つに分けられるか?
A

全体的正義と部分的正義

Q
能力や貢献に応じて、地位や報酬を分ける正義とは何か?
A

配分的正義

Q
損害や不公平を是正し、元の状態に戻す正義とは何か?
A

調整的正義

Q
アリストテレスが理想とした政治形態は何か?
A

共和制

まとめ|アリストテレスが伝えたこと

アリストテレスは、

  • 現実を観察すること
  • 理性を働かせること
  • 習慣によって徳を身につけること

を通して、

人間が人間らしく生きる道

を示しました。

哲学とは、

生き方そのものを考える学問

なのです。

最後まで読んでくれて、ありがとうございました!

この記事を書いた人
りゅう先生

元高校教師のりゅうです!
公立高校で地歴公民科の教員をしていました。
高校で倫理を教えていた経験を活かし、みんなに倫理を好きになってもらえるように、わかりやすく解説していきます!

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